解雇について

  1. 雇ってみたけど、使えなかった。
  2. 能力が高いなんてまるでウソ。騙された。
  3. 勤務態度が宜しくない。
  4. 残業だからといってインターネットをしていた。
  5. 残業代だせないけどそれでも働きたいといったから雇ったのに…。
  6. このままでは会社がもたないからやめてほしい。

人事担当の方は、こんな思いをした経験ございませんか?会社側の最終手段として『解雇』がありますが、刑罰でたとえるならば、『極刑』に該当する処分です。上記のような理由で、いきなり解雇とすることはNGです。

※このページで紹介する手続きを踏めば、必ず解雇ができるという趣旨ではありませんし、解雇を奨励するものではありません。 また、同じ手続きを踏んでいなければ、必ずしも認められないということでもありません。事案ごとに異なりますので、あらかじめご理解の程、お願い申し上げます。

(1) (2)については、能力についての問題です。

試用期間中に見極められなかったのか、指導教育を施したのか、面接時・採用時に能力担保を充分に行ったのか。これらについて、明確にしなければなりません。~と思った。~といった。では不十分です。

(3) (4)については、勤務態度についての問題です。

勤務態度について
挨拶や素行が不良の場合は、その点について、いつ、どこで、誰が、どのような注意をし、改善を求めたかについて記録をとります。
禁止行為や服務規律に違反した場合、公平にその処分がされていることが必要です。
規定はあるものの、今まで行使したためしがない。はNGとなります。

(5)については、よくある未払い賃金に関する問題です。

雇入れ時に約束・合意したからといって、法律違反の約束・合意は無効となります。予測される残業代を考慮しての賃金設計が必要です。
残業代を含んで30万円とするより、25万円だけれど残業したら30万円だった。とすることがトラブル防止となります。

(6)については、整理解雇の問題となります。

・解雇しなければならない経営上の危機であるか。
・役員報酬の引き下げや物件売却など、回避努力を行ったか。
・その人を解雇することに合理的な理由があるか。
・充分な説明を行ったか。
上記の要件を満たさないと、合理性・正当性を満たしたと認められません。
いわゆる「狙い撃ち」はNGです。解雇を行使するためには、一般的に、次のステップを踏み必要があります。

01始末書の提出
02減給
03出勤停止
04降格処分または配置転換
05解雇

能力不足に関しては、次のステップを踏み必要があります。

01教育の実施
02降格処分または配置転換
03労働条件の変更の提示
04退職勧奨
05解雇

整理解雇については、先に述べた、4つの要件を満たしていただくこととなります。

このように、『他に行う手立てが無い』場合に、行う最終手段が解雇ですので、使えない=解雇は今日では、通じないのが現状です。また、これらのようなステップを踏んでも、それを証明する客観的な証拠=始末書などが必要です。決断を言い渡す前に、ご相談されることをお勧めいたします。

労使トラブルについて

平成20年3月より労働契約法が施行され、労働契約に関するルールが定められました。労使紛争が多発傾向にある現状を受け、『言った、言わない』、『事実と違う』を未然に防ぐことが同法の目的です。

約束事は書面に残し、その約束が果たされるためには『ルールを守る』という決まりを作らなければなりません。トラブルに使われるエネルギーを仕事に転化させ、企業経営を向上させるベクトルあわせをお手伝いいたします。

労使紛争の現状

以前では、労働争議=『労働組合と会社との争い』でした。交渉が難航すると、ストライキなどの実力行使に訴え、労働力の重要性をアピールしたものでした。最近では、『組織には労働者も団結して組織での対抗する』という概念も、様変わりしており、個人が直接、会社に対して交渉を求めるようになってきております。求める内容も、個人的なものから全体的なものまで多様化していることから、労使紛争という言葉が使われるようになりました。

労使紛争は、必ずしも話し合いをしようというものばかりでなく、いきなり内容証明や労働審判・訴訟を求めてくるケースも少なくありません。今後においては、『会社側と労働者側』という概念ではなく、『会社と個人』と考えなければなりません。また、従業員にもしものことが起きた際においては、その後家族も紛争相手となり得ることを念頭におく必要があります。

平成20年3月より労働契約法が施行され、労働契約に関するルールが定められました。
労使紛争が多発傾向にある現状を受け、『言った、言わない』、『事実と違う』を未然に防ぐことが同法の狙いです。

何故、労使トラブルは起きてしまうのでしょうか?それは、コミュニケーションの不足が大きく影響しているようです。

この様な事態を回避するには、ルールを明確にして『言った、言わない』、『事実と違う』を未然に防ぐことが必要です。

  1. 雇入れの際に、労働条件を書面にしておく。→雇用契約書・労働条件通知書
  2. やらなければ困ること、やってはいけないことのルールを明確にすること→権利と義務の明確化
  3. 給料の計算と支払を明確にしておくこと。→これだけやったらこれだけ貰える。やらなければこれだけ貰えない。
  4. 労働基準法で定められている最低条件は守る。→法定労働時間、年次有給休暇、健康診断など。

弊社では、実際に紛争が起きた際の、個別紛争解決=解決についてお受けいたしておりますが、大切なのは、紛争を未然に防ぐこと=予防することです。雇入れから、就業規則・社内規定等の作成・運用について、こうした観点でのご相談をお受けいたしております。お気軽にお問い合わせください。